特集 産婦人科の救急処置
本院における産婦人科緊急患者の実態
街風 喜雄
1
,
北村 進司
1
Yoshio Tsumuji
1
1関東逓信病院産婦人科
pp.969-972
発行日 1967年12月10日
Published Date 1967/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203809
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はじめに
Emergencyということばは,産婦人科医にとつては,他科の疾病とくらべていささか趣きをことにすることが多い。なぜなら,分娩に関しては,つねに2つの個体を救うよう努力しなければならないことである。また,その疾病の大部分は(新生児疾患をのぞいて)失血で代表され,他科にくらべて,あまりにもaccidentであるということである。また,他方,産婦人科の疾病は,臓器それ自身から考えれば,よしんば,根治的にそれをとり去つても別段,生命に影響を及ぼさないが,しかし,新しい生命を生みだす臓器であつてみれば,そこには,やはり,他科と異質の制約がある。いま緊急処置ということを患者にできるだけ速かに適切な処置をとり,かつ,できるだけ生理現象をいとなめる状態に治療することが根本理念とするならば疾病そのものに対処するだけでなく,患者に対して将来の希望への考慮も必要となつてくるわけである。
しかし,その場で速かに適切な処置をとるということは,実際には多くのむずかしい問題がひそんでいる。それは生命の発生からはじまつて,妊娠・分娩の生理,その病態,そして新生児の疾病と本質的にして最も重要な部分が未解決のまま山積され,客観的検査法も研究途上にあり,熟練した経験が優先される現状に問題がある。
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