特集 異常妊娠とその診断
子宮外妊娠とその診断
馬島 季麿
1
,
伊藤 達志
1
Suemaro Majima
1
1日本大学医学部産科婦人科学教室
pp.579-583
発行日 1970年7月10日
Published Date 1970/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204237
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はじめに
子宮外妊娠(外妊)に対する古くからの考え方は「外妊とは性器出血および強烈な腹痛を伴つて発病する疾患である」というのが通念であつた。教科書などにも今なおこのように記載されているものが多い。ところが実際にはこのような急性型を示すものの他に,性器出血は認めるが,腹痛はきわめて軽度である,いわゆる慢性型または軽症型がかなりの頻度に認められることが証明されてきた。筆者はこのことについては早くから注目し,昭和34年に「遷延卵管流産について」を発表した。また三宅も「掻爬された外妊」,「外妊のいわゆる軽症群について」を発表している。外国においてもこれらの点に注目し,外妊をacuteformとchronic form (Parker),またはacutemanifestとobscure latent (Johnson)とに区別して取扱つている。その他に軽症のものに対してdelayedあるいはoccult tubal rupturと命名している学者もいる。
急性型または重症型は,診断は比較的容易であるが,時に生命の危険を伴うことがある。これに反して慢性型または軽症型では,生命の危険はないが,診断は困難なことが多い。また前者は卵管破裂例に多く,後者は卵管流産例に多く認められる。
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