特集 私の手術・Ⅰ
子宮破裂の手術
矢内原 啓太郎
1
Keitarō Yanaihara
1
1矢内原病院
pp.473-476
発行日 1969年6月10日
Published Date 1969/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204048
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はじめに
頸管破裂と子宮破裂との限界は明らかではないが,成書にしたがい,一応頸管上半部以上に及ぶものを子宮破裂ということにする。卵管間質部妊娠破裂は子宮筋層の破裂が明らかであつても,普通は子宮破裂とはしない。瘢痕破裂の中には,破裂か欠損かまぎらわしいものもあり,破裂は分娩時にかぎらず妊娠各期,ときには非妊時にさえある。
人工妊娠中絶時などに起こる子宮穿孔も,子宮破裂とは通常いわないし,また完全破裂,不全破裂などの語も限界は必ずしも明らかでない。破裂の様相はいろいろあり,手術も一様には論ぜられないが,母体生命を第一義とし,児がこれにつぎその他は二義的である。筆者は診療生活40余年の間に約16例を経験したが,そのうち数例はすでに報告した1,2)。今それらの記録と,古い記憶ならびに手近の文献から手術について二,三注意事項を綴り,一般医家,特に小開業同志の参考に資し御批判を待つ(経験は東大医局で2例,同仁会青島医院および青島市民医院で約12例,その後2例である)。
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