増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❸分娩時・産褥期の緊急対応
子宮破裂/切迫子宮破裂
関口 敦子
1
1日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科
キーワード:
子宮破裂
,
出血性ショック
,
産科危機的出血
,
trial of labor after caesarean section
,
TOLAC
Keyword:
子宮破裂
,
出血性ショック
,
産科危機的出血
,
trial of labor after caesarean section
,
TOLAC
pp.264-270
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211238
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遭遇しやすい典型ケース
症例1
34歳,3妊2産.第1子は帝王切開分娩,第2子は吸引分娩.今回もtrial of labor after caesarean section(TOLAC)希望があり,妊娠39週に陣痛発来,子宮口4cm開大で入院した.入院後の分娩進行は緩慢で,入院10時間後に子宮口全開大を確認,しかしその直後の怒責時に患者が腹部の激痛を訴え,遷延一過性徐脈を呈し計測が困難となった.再び内診すると児頭が上昇して触知できず,完全子宮破裂と判断してグレードAで緊急帝王切開術を行った.開腹時に胎児躯幹が子宮外へ脱出しており,腹腔内出血を認め,子宮下節筋層が前回帝王切開創部から右方頭側へ延長し断裂していた.子宮動脈断裂は免れていたが破裂創が大きく腟上部切断術を施行,総出血量は約2,800mLであった.児のApgar scoreは1分値1点,5分値3点でNICU入室,のちに低酸素脳症と診断された.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.