特集 私の手術・Ⅰ
子宮筋腫の摘出術—特に腹式単純全摘出術について
栗原 操寿
1
,
筒井 章夫
1
,
樋口 正俊
1
,
脇田 幸一
1
Sōju Kurihara
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.477-482
発行日 1969年6月10日
Published Date 1969/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204049
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はじめに
子宮筋腫といつても,硬度と大きさをやや増したいわゆる筋腫様子宮(myomatöser Uterus)から,腹腔を充たすほどの巨大筋種まである。また,自覚症状の現われるのは,筋腫の大きさばかりでなく,発生部位にも関係する。明らかな子宮筋腫があつても,全く無症状に経過するものがあるかと思えば,内診ではつきりしない小さな粘膜下筋腫でも,頑固な不正出血のくりかえしから貧血に陥り,摘出せざるを得ないものもある。
子宮筋腫の治療に,かつてレントゲン照射が行なわれたが,これは効果が確実でないばかりか,ときにはかえつて,頑固な不正出血や続発性変化をみて思わしくないことがある。また若年者では,卵巣機能の欠落症状を起こすなどで,現在は全身的に手術のできないごく限られた症例にやむを得ず行なうにすぎない。
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