日常診療メモ・32【最終回】
子宮頸癌手術手技のあれこれ(その4)
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1九州大学温研産婦人科
pp.1015-1018
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203615
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XVI.膀胱子宮靱帯の処理
このいわゆる前方操作も小林法にならつて大体次のようにしている。なおこの操作は術者の立つ側でのみ行なうように術者はその位置を交換する。
まず子宮を反対側で上方に牽引し,子宮動脈の子宮側断端の長い結紮糸に鉗子をかけて内側上方に引きあげ,剥離した尿管には尿管鈎をかけて外側に索引させ,かくして尿管と子宮動脈との間の結合織を強く緊張させる。この状態で先を閉じた剪刀で子宮動脈をしごき,あるいは細かく剪刀の先を動脈に接して動かし,子宮動脈を裸にするようにして(尿管外套を損傷しないために必要である)尿管から分離し遠ざける。子宮動脈を子宮側に牽引し,尿管を外側で膀胱の方向に鈎をかけてひき,尿管が入りこむ膀胱子宮靱帯部を明らかにする。先細の軽彎曲鉗子の先を尿管の靱帯入口部上縁から子宮頸〜腟部に向け(膀胱の方に向けない),先をもちあげつつ開閉運動によつて靱帯内にトンネルを掘り進め,腟前壁上に鉗子の先をつき出し,先をひろげて分離した組織(靱帯前層の一部)に鉗子をかけ切断結紮する。膀胱は先に中央部で少し腟から剥離してあるが,さらに深く剥離をすすめ,側方にも剪刀背面で静かに圧排剥離して膀胱子宮靱帯を明瞭にする。
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