日常診療メモ・31
子宮頸癌手術手技のあれこれ(その3)
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1九州大学温研産婦人科
pp.913-916
発行日 1966年11月10日
Published Date 1966/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203593
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X.右側の尿管分離
広皺襞後葉の辺縁に浅く鉗子をかけて引きあげておき,子宮頸部と骨盤漏斗靱帯外側断端との中間部で,剪刀の凹面を後葉に向け,その先端で後葉についている尿管をおしさげ,ついで剪刀の凸面を後葉にむけ,尿管を後葉からすくいあげるようにして,尿管を遊離する。あるいは後葉の辺縁を牽引して緊張させ,尿管を左手の拇示2指でつまんでひきあげておき,剪刀で後葉を圧排するようにして分離する。かくして一部遊離した尿管に尿管鉤をかけて緊張させつつ剪刀の先で後葉からの分離を拡大する。この分離を子宮頸部に向けて進めたら,膜様になつた後葉を,子宮から少しはなれて子宮頸側縁にそつて切り下げる。これによつて低くなつた後葉縁に改めて鉗子をかけなおして後葉を緊張させておき,剪刀の先で子宮頸部の近くまで(子宮旁結合織内に入るところまで)尿管の分離を進めておく。子宮旁結合織に入るところで分離を強行すると出血がおこりやすく,その止血には尿管損傷の危険が伴うので無理をさける。
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