日常診療メモ・30
子宮頸癌手術手技のあれこれ(その2)
清水 直太郎
1
Naotaro Shimizu
1
1九州大学温研産婦人科
pp.637-641
発行日 1966年8月10日
Published Date 1966/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203533
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VI.膀胱子宮窩腹膜の切開
円靱帯の子宮側断端をもちあげ,先に少し切開した広皺襞前葉を,閉じた剪刀でさらに膜様に分離し,それが容易にできるところを伝つてしだいに子宮頸側方に腹膜切開をすすめる。腹膜剥離は膀胱の上方で頸部を横断する方向にひろげ,それにつれて横に切開する。膀胱の損傷を警戒して剥離部位が高すぎるとき,また剥離層が深すぎるときは,剥離が困難であり出血しやすい。頸部の中央で腹膜切開の膀胱縁に腹膜鉗子をかけ牽引挙上しておく(この鉗子は自在開腹鉤柄部の下を通して保持しておく)。
これまでのV.以下の操作を左側にも行なつて子宮頸部前方の両側からの腹膜切開を連結させる。この頸部前方の腹膜切開が上述の方法で困難のときは,頸部中央で移動性のある部分の腹膜を鉗子でつまみあげておいて剪刀で横に小さく切開し,そこから閉じた剪刀の先を入れ,両側方に腹膜剥離をすすめて広皺襞前葉の切開と連続させる。
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