疾患の病態と治療 日常診療の再検討
子宮頸癌手術
内田 一
1
Hajime Uchida
1
1内田病院
pp.405-410
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205615
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近来,細胞診のスクリーニングとしての採用,集団検診の広範囲な地域における成果,早期診断を願う患者側の理解,産婦人科医の診断技術の向上等の結果,子宮頸癌の早期のものが多数発見され,かつ診療されるに至った。今日,子宮頸癌の手術として最も問題になるのは,以上の早期発見の結果,診断された早期頸部癌を,どのような術式,もっといいかえれば,従来の岡林式術式を,どのように縮小して,かつ十分に癌を治癒させる範囲の切除を行なうかが問題点の一つであろう。
著者は,すでに1965年3月,東京における第17回日本産婦人科学会総会(会長,小林隆)にて,『子宮頸部早期浸潤癌を疑う組織像とその手術手技について』と題して発表し,また1972年4月,岡山の第24回日本産婦人科学会総会(会長,橋本清)の席上にて,『われわれの行なっている初期子宮頸部癌の手術療法とその成績について』を,発表している。早期癌が発見され,これに対する手術範囲が縮小されてくるのは当然であろう。発見される頸部癌が,1期のbないしⅡ期,Ⅲ期,Ⅳ期の形で発見されるのは常識であり,早期癌(0期,Ⅰ期a)が,少なかった過去の状況と比べて,まさに子宮癌に関する限りは,岡林式根治手術が,子宮頸部癌手術の代表語であったことと比べて,実に今昔の感である。すなわち,頸部癌に関する限りは,広い広い戦野の激戦が戦線縮小されて,局地戦の戦闘へと移行してきた感がする。
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