MY THERAPY in Series・48
分娩時の胎勢異常について
松岡 松男
1
1聖路加国際病院産婦人科
pp.911-912
発行日 1966年11月10日
Published Date 1966/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203592
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妊娠末期に胎向が第二分類を示している妊婦については,たとえ頭位であつても特にマークしておく必要がある。分娩に際し,しばしば回旋異常を起こす。幸いにして大多数例は分娩進行にともなつて後頭位に回旋するものであるが,少数例では反屈位胎勢となつて,分娩が遷延し,鉗子分娩あるいは帝王切開等の適応となる可能性を覚悟していなければならない。また児頭が固定する似前に破水が起こつた場合は,上肢の脱出も起こり得る。
外診上第二分類を疑わしめる兆候は,小部分は明瞭でありながら,児背を触知しがたいこと,児心音が深部に,あるいは耳に遠い感じで聴こえることである。この場合,小部分と反対側の外側方に聴心器を当て,水平方向から心音聴取を試みると,明瞭に聴きとることができる。ただし強度の反屈位(顔面位あるいは前額位分娩になる可能性あり)の場合は,心音はかえつて小部分側で明瞭である。これは児の胸壁が子宮壁に密接しているためである。
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