MY THERAPY in series・23
開腹手術後の腹壁創化膿(膿瘍形成)予防法
市橋 進
1
1東急病院
pp.548-549
発行日 1964年7月10日
Published Date 1964/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203088
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最近,種々なる抗生物質の出現により化膿の予防が容易かつかなり完全に行なわれるようになつたとはいうものの,反面耐性菌などの出現によりまだしばしば,化膿巣ないし膿瘍形成に遭遇する。特に産婦人科外科領域においては,開腹手術後,深部の手術巣はすでに治癒しているにもかかわらず腹壁創部にのみ化膿巣ないし膿瘍が形成され,患者に対して苦悩を与えまた入院期間の延長をも来たしてはなはだ困惑することがしばしばある。腹壁創の化膿ないし膿瘍形成に対する処置そのものははなはだ簡単で,排膿後ドレーン挿入により容易に治癒するも,創は二次性治癒を来たして瘢痕を形成し汚く,治癒期間もまたいつたん化膿巣ないし膿瘍を形成すれば著しく延長して,最小限2週間を必要とする。われわれもこのような腹壁割の化膿例に遭遇して以来,この予防に対してとくに配慮をくばり,以下記述するような方法を手術例全例に行うようになつた。それ以来,幸いまだわれわれ腹壁創の膿瘍形成,脂肪融解例などを経験せず,甚だ簡単で良法と考えるため諸先輩の御追試をお願いするとともに,御批判を仰ぐ次第である。
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