Japanese
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特集 梅毒
抗療性梅毒—血清学的検査担当者の立場から
Anti-therapeutic syphilis
松橋 直
1
Tyoku Matuhasi
1
1東京大学医学部血清学教室
pp.91-95
発行日 1958年2月10日
Published Date 1958/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201704
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梅毒の血清学的検査法は,PangbornのCar-diolipinの発見をきつかけとして,特異度ならびに鋭敏度が一段とたかくなつた。その結果,当然のことながら,梅毒の検出率はたかまり,梅毒以外の疾患で血清反応が陽性になる率はひくくなつたので,血清反応が陽性の場合は,まず梅毒の罹患に関係のあることを推定しなければならないことが一応考えられるであろう。しかし,ここで注意しなければならないことは,梅毒の発見率がたかくなったことに3つの意味のあることである。すなわち,その第1は,梅毒に罹患してから血清反応が陽性になる時期が,従来考えられていた7週間より早くなり,4〜5週位になつたことであり,その第2は,梅毒に罹患しているものはほとんど100%陽性であること,その第3は,一度梅毒に罹患したことのあるものは,梅毒が完全に治癒したと推定できるのに,いつまでも陽性がつづくことである。これを別の言葉にいいかえれば,梅毒に罹患して,所謂梅毒抗体(reagin)を産出するようになると,その抗体がほんの小量でもあれば,現在の優秀な検査法をもちいると,陽性として検出できることであろう。したがつて,たとえ梅毒症が治癒してしまつても,抗体がありさえすれば,血清反応は陽性になる。
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