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特集 麻酔の進歩
麻酔学及び麻酔医の独立
Independence of anesthesiology and anesthetist
綿貫 喆
1
Tetsu Watanuki
1
1東北大学医学部麻酔科
pp.949-951
発行日 1957年12月25日
Published Date 1957/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201677
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痛みから逃れようとする試みはおよそ人類が始まつた時から行われて来た。原始人でさえも打撲を受けると冷水でひやしたり,また疾病にかかると祈祷によつて治そうとしたらしい。また紀元前からすでにギリシャ,ローマ,エジプト,アラビヤあるいは中国においては,ケシ,ヒヨス,大麻,マンダラゲ等を用いて疼痛を和げていたという記載がある。手術の時の疼痛を無くそうとする試みもいろいろ行われたらしく,13世紀にすでにイタリーで催眠剤を用いて手術を行つたといわれている。しかし近代医学がルネサンス以後に大いに発展したと同様に麻酔の進歩の歴史においてもルネサンスの後に目ざましい発見が行われた。
エーテルはすでに13世紀にRaymond Lulliusによつて発見され,15世紀に至りParacersusやValerius Cordusによつて再発見されていたが手術の際の無痛の目的には使われていなかつた。18世紀に至ると英国のJoseph PriestleyによつてCO2(年代不詳),O2(1771),笑気(1772)がつぎつぎに発見され,笑気はHumphry Davyにより,エーテルはその弟子であるMichael Faradyによつてその作用が研究され,ともに手術の際の無痛に用い得ることが暗示された。しかしこれらが実際に手術の際の無痛の国的をもつて用いられるにはなお相当の年月を要したのである。
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