研究
抗生物質感受性よりみたブドウ球菌感染症の現況—(ディスク法による感受性の検討を中心として)
小林 稔
1
,
高見 寿夫
1
,
滝上 治
1
,
栗原 英雄
1
KOBAYASHI MINORU
1
,
TAKAMI HISAO
1
1神戸医大付属病院臨床検査部細菌室
pp.317-320
発行日 1964年4月15日
Published Date 1964/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916755
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はじめに
細菌が抗生物質または化学療法剤(以下薬剤と略称する)に対して耐性を獲得するという現象が重大視されるようになったのは比較的新しく,細菌の中でも特に赤痢菌・結核菌およびブドウ球菌(以下ブ菌と略称する)の3者がこの耐性獲得現象の高度なものとして注目をあびていることはすでに衆知のことである。ことに,ブ菌感染症は耐性獲得傾向が強いばかりでなく,病様が多彩であり一般感染症の大きな部分をしめるうえ,特殊な病院ブ菌感染症としてもその淫浸が臨床の各領域にわたるだけに,診断・治療上ばかりでなく疫学上多くの問題を有している。ブ菌のうちCoagulase陽性,Mannit分解のStaphylococcus aureusは特に耐性になりやすく,かつ数種の薬剤に耐性を有する傾向も高まりつつある。私たちは,昭和36年1月から昭和38年12月までの3ヵ年間細菌検査室に検査を依頼されたもののうちStaphylococcus aureusと同定した全菌株について,ディスク法による薬剤感受性をしらべその様相を概観したので報告する。
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