特集 思い出・追悼論文
追悼論文
子宮断端癌の7例,特にその発生予防法としての子宮全剔の意義に就て
三谷 靖
1
1長崎大学
pp.469-475
発行日 1954年8月10日
Published Date 1954/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201081
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1.まえがき
子宮筋腫や附属器疾患等の為に子宮の腟上部切断手術を受けた後,残存した子宮頸部に発生した癌のことである。然し腟上部切断手術を受ける時に同時に存した他部の癌腫から続発的に発生したものや,既に子宮頸部に癌腫のあつたのを看過したものは勿論嚴密な意味での断端癌ではなくun—echte Stumpfkarzinomと言い,真の意味の断端癌と云うのは子宮の膣上部切断手術を受けた後にその遺残した頸部に原発的に発生した癌である。従つて手術後間もなく発見した断端部の癌は子宮断端癌と言えない。然らばその期間をどの位にするかは人によつて多少見解の相違があり,Sene—quéの如きは腺癌は僞性と思う程早く出来ると言うが少くとも1年出来れば1年半以上を経たものとするのが妥当であろう。本症は1885年にBrocaにより初めて記述され.1896年にChrobakが初めて発表したもので本邦では大正2年池田により初めて報告されたものである。
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