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ペニシリンによる岡林式廣汎性子宮癌全剔術後の感染防止に就て
加來 道隆
1
,
山田 曅穗
1
1熊本醫科大學産科婦人科學教室
pp.349-350
発行日 1949年9月10日
Published Date 1949/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200254
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緒言
子宮癌を放射線と手術との何れによつて治療すべきかと云う根本問題は別として,我國に於けるラヂウム量やレントゲン裝置の現状からは,その永久治癒率向上の點から手術可能例は殆んど凡て手術されている事は婦人科醫の齋しく認める所であろう.而して岡本式廣汎性子宮癌全剔出例の永久治癒率が單純性全剔出例のそれに比べて高い事は既によく知られているにも拘らず,今尚之が一般化されないのは,術式の難しさよりも寧ろ術後の感染を頻發する爲と思われる.事實我々も亦從來は屡々術後の子宮傍組織炎(傍組織炎)に惱まされて來た.最近,ペニシリン(ペ)やスルフオンアミド劑(ス劑)等を使用して本感染が減少した成績も發表されてはいるが,大量使用のものが多く,而も尚,完壁なものは見當らない.余等も之等化學療法劑での感染防止法を研究し,試驗管内實驗で本感染と關係ある溶血性連鎖状球菌(溶連菌),葡萄状球菌(葡球菌),大腸菌に對する殺菌及び制菌作用を,ペ,ス劑,モノフラゾーン,マルフアニール,及び尿素に附き夫々檢索し,更にペ及びス劑と血液殺菌力との總和を見る爲,兩劑を夫々血液に混入し,溶連菌を加え,試驗管内で一定時間培養後,血液寒天平板培養で菌聚落數を算えて檢べた.
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