特集 思い出・追悼論文
追悼論文
婦人科に於ける尿管損傷(痩)の治療法
淸水 直太郞
1
1佐世保共済病院産婦人科
pp.463-466
発行日 1954年8月10日
Published Date 1954/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201080
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婦人科の開腹手術に於て骨盤内を索状に縱走する尿管の損傷を避けることは常に我々が苦心する点であり,然もその損傷の苦い経験の記憶がない婦人科医は極めて少ないと思う。尿管損傷を避けるように努力工夫することは当然であるが万一損傷した場合の対策を会得しておくことは実地上極めて必要で,これなくしては必要にして充分な手術を敢行し難い場合がある。婦人科医が一応の腸管手術を習得しておくと非常に実地上役立つとは従来一般に説かれているが,尿管損傷の対策を心得ておくことに寧ろそれ以上の必要性を感ずる。
婦人科に於ける開腹術時の尿管損傷には切断等直接的のものと,尿管の栄養血管を傷害することによる間接的のものとがあり,子宮筋腫,殊に頸部筋腫,附属器腫瘍,殊に癒着が強いもの,広靱帯内発育のもの,子宮癌等悪性腫瘍の手術時に惹起し易い。特に広汎性子宮全剔除術時の子宮頸部からの尿管遊離に伴う尿管被膜の損傷,周囲組織の結紮による尿管屈折,狭窄が多いとされる。
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