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スボンヂバイオプシーについて
中村 實
1
,
和田 一男
1
1慶應義塾大学醫學部産婦人科學教室
pp.149-151
発行日 1952年4月10日
Published Date 1952/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200607
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緒言
子宮癌の診斷には從來試驗切除切片により組織學的に行われて來たが,G.N.Papanicolaou及びTrautにより塗抹標本法による診斷法が發表されその後各種の追試及び改良法が行われ現在婦人科性器癌には必須の診斷法となりつつある。即ち組織學的でなく細胞學的に一個或は數個の細胞を,それらの核,核小體,分體像等の主として核に於ける形態的變化を観察する事によつて惡性か否から診斷する様になつたのである。私達は慶應義熟大學病院産婦人科の外來及び入院慰者約2500例につき塗抹標本法を行つたが,Agreにより創始された擦過法が最もすぐれている。即ち今や塗抹標本法と試驗切除切片による組織標本法とは車の兩輪の如く,その何れをも缺く事の出來ない必須の診斷法である。
A.Gladstoueによつて紹介されたSpone Biopsyはスポンヂにより子宮腫部を擦過する點は,塗抹標本法と同様であり,爾後の處理法は全く組織標本と同一である。即ち組織標本と塗抹標本の丁度中間に位するものであり,その診斷はGladotoneも述べている様に,病理學者に於いても容易に習熟出來るものであり,塗抹標本を研究するものにとつては,なお一層容易で何ら特別の訓練を必要としない。
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