原著
腹水中の惡性腫瘍細胞塗抹診
岩淵 庄之助
1
,
和田 一男
1
,
髭 一男
1
,
遠藤 吉彦
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.398-402
発行日 1953年7月10日
Published Date 1953/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200863
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緒言
1943年,G.N.Papanicolaou及びTrautに依り,塗抹標本法に依る子宮癌の診斷法が發表されて以來,多數の追試に依り此の方法による惡性腫瘍診斷の確實性が承認され,その簡易さと共に現在子宮癌の早期發見に廣く用いられ,臨床上寄與する所は非常に大なるものがある。吾が慶應義塾大學醫學部産婦人科教室に於ては,3年前より此の方法を採用し,現在迄検査例も延10000例以上に達し,その適中率も90%以上で,臨床的惡性腫瘍診斷上に多大の好成績を收めている。
更に吾々は最近塗抹標本法に依る腹水中の悪性腫瘍細胞發見について検討を試みた。腹水が悪性腫瘍に依るものか否かを知る爲に,今迄主に臨床的症状及び腹水の性状,印環細胞を參考にして推定し得るに過ぎず,仲々困難な場合が多い。
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