連載 FOCUS
OCと血栓症
北村 邦夫
1
1一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センター
pp.714-720
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103829
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はじめに
2013年12月17日に田村憲久厚生労働大臣が定例の記者会見で,2004年から13年までに低用量経口避妊薬(low dose oral contraceptives : LOC)と月経困難症の症状改善に用いられる低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(low dose estrogen-progestin剤 : LEP剤)の副作用での死亡例が11件あったと発表した(本稿では,これらを「OC」で統一することとする).
筆者も,国が発表した死亡例を確認しているが,多くは肺塞栓,脳梗塞など血栓塞栓症であることがわかっている.この報道を受けて,日本産科婦人科学会(以下「学会」)は2013年12月27日に『低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ』と題した見解を発表した1).また,国は2010年11月に発売された「ヤーズ®配合錠」(ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠)との因果関係が否定できない国内3例の血栓症死亡報告があったことから,2014年1月に『月経困難症治療剤「ヤーズ®配合錠」投与患者での血栓症に関する注意喚起について』を発出2).血栓症は「ヤーズ®配合錠」に限ったものではないことも勘案して,その後OC発売各社は「使用上の注意改訂のご案内」と併せて添付文書も改訂した.
このように,「OCと血栓症」を巡っては1999年の発売以来の危機的状況となっている.本稿では,「OCと血栓症」の歴史的背景,「OCと血液凝固系への影響」,「OC処方に際して留意すべきこと」などについてまとめた.
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