今月の臨床 低用量OCの普及をめざして
OC服用女性の意識の変化
対馬 ルリ子
1
1医療法人社団フィーメールガーデン ジュノ ウィミンズ・ウェルネス銀座産院 銀座健康院
pp.1528-1535
発行日 2010年11月10日
Published Date 2010/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102503
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
1960年,女性の解放を夢見たマーガレット・サンガーの情熱と,多くの一般女性たちの協力と,ホルモン研究者たちの努力とが結実して発売されたピルが世に出てから50年が経った.日本でも低用量経口避妊薬(oral contraceptives : OC,もしくはピル)がはじめて避妊薬として認可・発売されてから10年余が経っている.
ピルは,女性のリプロダクティブヘルスを支えるホルモン薬であるが,この50年間に,女性は子どもを産み育てる家庭内の存在から,自身も仕事を持ち,地域や組織,国家においても活躍できる存在として,急速に存在感を増してきた.
一方,現在の日本は,社会における男女共同参画が先進国中で最も遅れていると評価されている.この状況において,低用量ピルが,安全で確実な避妊薬としてばかりでなく,パートナーがいなくても,快適な月経,コントロール可能な月経周期,安定した体調や肌を保証し,増えている女性の病気(子宮内膜症,子宮体癌や卵巣癌)を減らす存在として,女性のQOL(quality of life)を支える効果は大変大きいと思われる.しかし,ピルを上手に使いこなすには,正しい情報と,高い自己価値感,受診しやすい医療環境,常に複数の選択肢から選択できる自由,信頼できる医師との関係が必須である.逆に社会での女性の存在感が大きくなければ,ピルの服用には結びつかない構造が存在する.
ピルに関する正しい情報を得,実生活に生かすことができる現代女性が今後も増えてくれることを,またそれを,わが国の医療・保健が力強く支えてくれることを,心より願っている.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.