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編集後記
神崎 秀陽
pp.188
発行日 2014年1月10日
Published Date 2014/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103607
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医科大学あるいは医学部の新設をめぐる議論と共に,医師数の将来需給に関しても,実数不足か地域や診療科の偏在なのか,双方の立場からの意見はかみ合っていません.一方,少子高齢化や要介護者の急増を見越し,近年多くの医療系大学,学部や専門学校が全国各地で申請・認可されました.そして医師以外の医療関係者の需給予測を見ると,看護師と特殊な医療技術職,例えば言語聴覚士などを除く,薬剤師,放射線技師,臨床工学士,作業療法士,栄養士,臨床心理士などは充足し,一部では過剰となります.
しかし看護師については,医師同様に将来の需給予測は困難です.過去数年と今後の1~2年以内をみても,新たな看護大学,看護学科などの申請が各地域で出されており,例えば近畿地方でも2015年になれば一部以外では充足率が100%を超えると予測されています.大学病院での看護師の平均在職年数は9年前後となっていますので,毎年1割程度の看護師が入れ替わる計算で,現場の感覚では常に看護師不足に悩まされており,1年中募集を継続している状況です.教育の主体が3年制の看護専門学校から4年制の大学へと移行してきており,4年生大学卒では確かに個々人の能力と専門意識,上昇志向があり,総じて看護の質も向上します.各領域での専門看護師の増加は医療現場での看護師の役割を増加し,医師の過重労働軽減につながることが期待されており,そのためにはまず定着率の改善が必要で,医師同様,職場環境・待遇を改善する必要があることは明らかです.しかし数年ごとに見直されて変動している診療報酬制度下では,経営的にどこまでが可能かの判断が難しいのが現実です.
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