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編集後記
神崎 秀陽
pp.756
発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103453
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大学病院勤務の看護師や医療技術職員の時間外労働やサービス残業の問題は以前からたびたび指摘され,出退勤をタイムカードによってかなり厳密に管理し,適正に時間外賃金が給付されるようになっています.そして最近では医師(教育職)の労務管理の曖昧さが,毎年のように労働基準監督局から注意されるようになりました.
教育や診療以外にも自己研鑽や研究分野での活動時間が多い教育職については,単純なタイムカードでの時間外労働時間管理はできませんので,裁量労働をしているという建前で,労務時間の自己申告が慣例となっています.しかし実態は毎月診療科や教室の秘書がまとめて出勤日に捺印しているというかなりいい加減なものです.緊急診療や,手術,分娩で診療録(電子カルテ)から時間外に延長した勤務が確認できる際には,それを時間外労働として申告するようにと指導はしますが,自己申告手続きが面倒なためか,若い医師でもあまり申告しないという現状です.3年前から産婦人科では,緊急呼び出しはもちろん,当直医でも個々に分娩手当や時間外緊急診療手当が,また予定手術でも時間外となれば延長手当がつくよう待遇改善をはかりましたので,主治医クラスの若い医師の給与はかなり改善されました.2年前からは勤務医手当を一律に追加支給し,さらに去年からは,時間外労働申請が行いにくい指導医の待遇を改善するため,病院勤務の講師以上の全員に職位手当てを追加支給しています.しかし医師(教育職)へのこのような待遇改善策を労働時間管理との兼ね合いで労基局がどう判断するかは分かりませんので,今年の指導内容によっては,さらに追加措置を検討する必要があるかもしれません.
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