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編集後記
神崎 秀陽
pp.598
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103090
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昨年の日本総人口は約25万人減少したと報道されました.4~5年前からの減少傾向が今後さらに加速することは確実で,10数年後からは100万人規模での減少も想定されます.1世紀後の予測値は5千万人から8千万人の間となり,人口減少による国力衰退を危惧する意見はありますが,今後の人口減少は必然ですので,国土面積や経済実態に相応した成熟したより良い社会を再構築する好機と捉えるべきです.急速に進行中の著明な高齢社会は,我々団塊世代の消失で20~30年後には解消されますので,それ以後の人口ピラミッドはやや下部の細い欧州型となって,人口当たりの医師数も欧米並み以上になると予想されます.数的には医師不足ではなく逆に過剰となるでしょうが,現在の医療政策では,地域や診療科の偏在傾向を解消することは難しいと思われます.
産婦人科診療対象患者の動態を年齢構成の推移から予測すると,当然ながら出生児数は徐々に減少し,最終的には60~70万人程度で定常化すると推計されます.婦人科疾患の患者数は腫瘍を中心として漸増傾向となる一方,生殖医療の対象患者数は減少していきます.患者数の変動とともに要求される医療の内容も変わっていくでしょうから,それぞれの領域での人的必要資源がどうなるかを予想することは困難ですが,女性医師比率が著増してきている現状では,特に周産期や婦人科腫瘍を専門とする病院勤務医や大学教官が将来不足することは容易に想定できます.産婦人科志望の男性医師がやや増加傾向にあるのは,医学生や研修医も医療需給からみた将来展望に敏感なせいかも知れません.
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