原著
子宮内膜癌の発生・進展とhMLH1蛋白発現に関しての免疫組織学的検討
小林 さやか
1
,
吉田 朋美
2
,
西島 良美
3
,
福田 利夫
2
1群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻
2群馬大学医学部保健学科
3群馬大学医学部付属病院病理部
pp.403-408
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102962
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要旨
I型子宮内膜癌において,修復遺伝子であるhMLH1(human mutL homolog1)遺伝子発現の不活化および蛋白発現の消失,それに起因する癌抑制遺伝子の変異の集積による発癌が注目されているが,免疫組織化学的手法を用いたhMLH1蛋白発現に関する研究は少ない.本研究では,内膜組織診検体を用いて,hMLH1蛋白発現を免疫組織化学的手法により検索し,hMLH1蛋白発現と発癌との関連性,発癌過程における蛋白発現消失の時期について検討した.hMLH1蛋白完全消失は,複雑型増殖症では13%,異型増殖症では22%,類内膜腺癌全体では32%と癌および癌以前の病変でみられ,hMLH1蛋白完全消失は発癌の早期段階に関与していると考えられた.病変部と離れた非病変部においてもhMLH1蛋白完全消失がみられ,hMLH1蛋白完全消失した細胞は,形態的に異型が認められない場合でも,発癌する可能性が示唆された.病理組織材料を用いた免疫染色は安価,簡便かつ迅速に行え,臨床的に有用な情報を得ることができる.この手法を用いたhMLH1蛋白発現の有無は,発癌を予測するうえでの有用な補助マーカーとなり,内膜癌の早期発見に結びつくと考えられる.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.