書評
神崎秀陽(編)―更年期・老年期外来ベストプラクティス─誰もが知りたい104例の治療指針―
木村 正
1
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室
pp.334
発行日 2012年4月10日
Published Date 2012/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102948
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医学や医療の高度化に伴い専門化が進み,体のパーツにはやたら詳しくならねばならないが,全人的な見地で物事を見ることが難しい時代になってきた.もともと産婦人科医は,妊婦健診という場で妊娠女性の健康問題のすべてに対してたとえ専門的治療はできなくとも診断を行い,それぞれの専門家につなぎ,適切な治療・管理を行うという妊婦の健康のゲートキーパー(門番)の役割を担ってきた.妊娠中であっても感冒や膀胱炎といった一般疾患,高血圧,糖尿病などの生活習慣病,うつ状態などの精神的問題,頭蓋内出血や心不全,甲状腺クリーゼなどの生命にかかわる重篤な疾患までが一定の頻度で発生し,健診を行っている産婦人科医が初期対応を行わなければならない.妊婦健診では「○○の臓器しか診ません」という態度・知識では務まらないのである.
このような知識・経験がある産婦人科医がこれからの超高齢化社会に向かって更年期・老年期女性に対しても当然ゲートキーパーとして貢献するべきである.その際に妊婦とは異なる疾患の頻度や,年齢からくるさまざまな問題に向き合わなければならない.また,患者さんたちの意識が高まり,さまざまな診断や治療,あるいは生活指導に至るまで,私たちの行為すべてに根拠を求められることが多くなった.
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