連載 Obstetric News
切迫早産―抗菌薬療法の有効性
武久 徹
1
1武久レディースクリニック
pp.98-99
発行日 2012年1月10日
Published Date 2012/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102892
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潜在性性器感染が早産の原因の1つであることは明らかである.しかし,切迫早産の症状がある妊婦に早産予防目的で抗菌薬を使用すれば,妊娠週数延長や新生児罹患・死亡を減少させるうえで利点があるという信頼できる研究はない.
コクランレビューで,妊娠36週以前で未破水妊婦の早発陣痛を抑制する目的で,子宮収縮抑制剤と予防的抗菌薬併用の効果を検討したものがある.11研究(7,000人以上)が対象になっている(King J&Flenady V. Cochrane Database Syst Rev. 2002).この解析は,広域スペクトラムの経口抗菌薬が使用された1つの大規模研究に大きく影響されている(研究対象者数は,後述のORACLE IIだけで,10研究合計の6倍).その結果,抗菌薬非使用群に比べ,抗菌薬使用群で妊娠週数延長,もしくは,治療開始後48時間以内の分娩,妊娠36または37週未満の分娩,周産期死亡,呼吸窮迫症候群,新生児敗血症,または新生児罹患の有意な減少は見られなかった.しかし,予防的抗菌薬使用によって,母体感染(絨毛膜羊膜炎,子宮内膜炎)の有意な減少(26%減少)が見られた.
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