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はじめに
子宮頸がん予防のためのヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)ワクチンとして,2価ワクチン(HPV2,サーバリックス®)が2009年11月に,4価HPVワクチン(HPV4,ガーダシル®)が2011年7月にわが国で承認された.産婦人科診療ガイドライン─婦人科外来編では,10~14歳の少女が最優先に推奨され(推奨レベルA),次に推奨されるのが26歳までの女性で(推奨レベルA),45歳までの女性にも推奨する価値がある(推奨レベルB)としている.
2010年11月からは公費助成(平成22,23年度ワクチン接種緊急促進事業 : 表1)が始まり,多くの地域では中一から高一を対象に開始されており(2011年9月末までは高二も),2011年10月末で接種率は50%以上となったとされている.平成24年度以降の継続が期待されていたが,2011年12月に継続が決定された.
HPVでは約15の型(16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68型など)が,発がん性HPVとして知られ,子宮頸癌で最も高頻度(約50%)に検出されるのはHPV-16であり,次いで約20%がHPV-18である.子宮頸癌の原因とはならないHPVとしては,尖圭コンジローマの原因であるHPV-6,HPV-11がある.HPV2(2価ワクチン)はHPV-16/18,HPV4(4価ワクチン)はHPV-6/11/16/18のウイルス様粒子(virus-like particle : VLP)を含有している.
臨床試験で予防が確認されたのは,HPV-16/18の持続感染と癌直前の前がん病変であるCIN2/3, AIS発生についてであり,未感染者には100%近い効果がある1, 2).臨床治験では16~25歳を対象としているが,一般診療で同年代にワクチンを接種する場合に100%近い効果があると誤解してはならない.ワクチン接種前にHPV-16やHPV-18に感染している場合には効果はない.
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