今月の臨床 子宮頸癌─予防と妊孕性温存のための治療戦略
妊孕性温存のための治療戦略
5.広汎子宮頸部摘出術の合併症
奥川 馨
1
,
小林 裕明
1
1九州大学医学部婦人科学産科学
pp.1255-1259
発行日 2011年10月10日
Published Date 2011/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102809
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Dargentらは妊孕性温存希望の子宮頸癌患者に対し,1986年,腹腔鏡下骨盤リンパ節郭清を組み入れた腟式広汎子宮頸部摘出術(vaginal radical trachelectomy : VRT)を考案し,長期予後の点からも施行可能な術式として報告した1).その後,Smithら2)は腟式では基靱帯の切除が不十分となることを問題とし,それを改善すべく腹式広汎子宮頸部摘出術(abdominal radical trachelectomy : ART)を開始した.
わが国でも若年層での頸癌罹患率の増加3)と,初産・初婚年齢の高齢化4)から,妊孕性温存を希望する若年子宮頸癌患者が増加しているため,われわれはIRB承認のもと,2005年6月よりARTを開始し5),2011年5月まで76例に子宮頸部摘出術を施行した(単純子宮頸部摘出術11例を含む).これまで1,000例を超える子宮頸部摘出術症例が報告されている6~8)が,本稿では広汎子宮頸部摘出術の合併症について当科での経験を含めて概説する.
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