今月の臨床 不妊診療のABC─ARTの前にできること
不妊原因診断とARTの前の対処法
4.卵管の異常
末岡 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1127-1130
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102778
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ARTが急速に発展,普及を遂げ,今日の生殖医療の骨格が築かれたことは不妊カップルに対しても,人口推移に対しても著しい貢献を及ぼしている.この発展の背景には従来の方法では妊娠に至らなかった重要な不妊原因と治療の制限があった.特に卵管の病態については有効性の高い治療法が確立されておらず,開腹手術によるマイクロサージャリーなどの技術を用いた卵管開口術や端々吻合などの治療法が行われているにすぎなかった.内視鏡技術が発達し,同時に管状の臓器の病態に対するカテーテル治療法が発展したことは卵管不妊に対して大きな治療選択の拡大を可能にした.これによって,これまで困難とされてきた卵管病変,特に卵管内腔の病変を把握し,治療に導くことが可能となった.対象の多くが,卵管病変本態へのアプローチをあきらめてARTに依存していた不妊治療に新たな卵管不妊治療の活路を導き出した.
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