明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 卵管
不妊症と卵管異常
百瀬 和夫
1
,
金子 慶賛
1
,
武井 成夫
1
,
張 素瑛
1
,
権 慶子
1
Kazuo Momose
1
1東邦大学医学部第1産婦人科教室
pp.119-124
発行日 1984年2月10日
Published Date 1984/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206940
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卵管は卵巣と子宮を結ぶわずか10cm余の管状の器官にすぎないが,卵摂取,精子・卵の移送および栄養,受精環境の提供,さらに受精卵の移送など複雑な役割を担っている。しかし臨床的にこれらの機能を正確に判定する方法はなく,ようやく疎通性の検査が行われているにすぎない。それにも,卵管に注入する材料によって通気法,通水法,通色素法,造影法,内視鏡などの諸法があり,それぞれ一長一短で,症例に応じ適宜に選択取捨することになる(図1)。
しかし今日のところ,卵管疎通性の判定には,造影法と内視鏡の組み合わせがもっとも確実とされる。性器の内腔の形態を透見する造影法と,外表から主として卵巣卵管関係を観察する内視鏡検査とは,互いに補完的complementaryなものであって,競合的competitiveなものではないと考えるのが妥当であろう。
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