今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
不妊の原因と検査
4.卵管因子
末岡 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.512-516
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904004
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卵管不妊は女性側の不妊原因のなかでも最も頻度が高く,その病態も多様であることが知られている(図1).卵管機能は排卵した卵子を回収し,精子と卵子の通過路となるのみならず,受精や胚成長の場を提供するという重要な役割を担っている.しかし,とくに卵管内腔の治療や病態の把握は困難であり,新たな技術開発が望まれてきた.その結果,卵管不妊の治療として妊娠成立に卵管を介さない体外受精が急速に普及した.
しかし近年,卵管通過障害に対して,低侵襲性カテーテル治療法である卵管鏡下卵管形成カテーテルシステムが開発され1,2),子宮側からのアプローチで卵管内腔の病態を観察し,しかも高い治療成績を上げる効果的な治療法としての意義が確立されてきた3,4).とくに,卵管内腔の病変のなかでも頻度が高い間質部を含めた卵管近位部の閉塞に対して行われてきた従来の観血的治療は,手術手技が容易でなく,またその治療成績も十分なものとはいえなかった.さらに,多発性閉塞の治療や患者への侵襲の考慮から新たな治療法の開発が必要と考えられた.
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