今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
産道感染・母乳感染への対策
5.クラミジア,パピローマウイルス,カンジダ
前濱 俊之
1
1豊見城中央病院産婦人科
pp.1053-1057
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102758
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クラミジア感染と母子感染
性器クラミジア(Chlamydia trachomatis)感染症は10~20代に多く,わが国の性感染症の中で最も多い.クラミジアは性行為により感染し,女性では子宮頸管炎と骨盤内炎症性疾患を引き起こす.妊娠初期において,流産の原因となるかどうかは結論がでていない.母子感染は主に産道感染であるが,新生児結膜炎,新生児肺炎を引き起こすことが報告されており,分娩前の検査および治療が望ましい.クラミジアは淋菌などのほかの性感染症と合併していることも多いため,ほかの性感染症検査も同時に実施することが重要である.クラミジアはすべての性感染症のなかで最も多く,男女とも無症状または無症候の保菌者が多数存在する.女性のクラミジア検査は原則として,子宮頸管の分泌液か,擦過検体からクラミジア検出を行う.しかし,子宮頸管のみの検索はきわめて限られたものであるため,加えて血清抗体検査を行うことがある.血清抗体価では治癒判定はできない.
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