今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
産道感染・母乳感染への対策
6.HIV
渡辺 博
1
1獨協医科大学病院総合周産期母子医療センター
pp.1058-1061
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102759
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HIVの母子感染経路には,妊娠中の経胎盤感染,分娩時の産道感染,出産後の経母乳感染の3経路がある.HIV感染妊婦を介入せずに自然経過を見た場合の母子感染率は20~30%であるが,妊娠中のZidovudine(AZT)服用によってHIVの母子感染率が有意に低下することが報告1)されて以来,抗ウイルス薬による母体血中ウイルス量の抑制が母子感染予防の大原則となっている.さらに分娩時の産道感染を防止するための陣痛発来前の選択的帝王切開,経母乳感染を防止するための人工乳哺育が,現在わが国での標準的な母子感染防止策となっている.本稿ではわが国のHIV母子感染予防対策の経緯と,諸外国で試みられている新しい感染予防戦略について述べる.
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