今月の臨床 ART─いま何が問題か
ARTによる出生児の問題
2.児のエピジェネティクス異常との関連
阿久津 英憲
1
,
佐藤 俊
2
,
秦 健一郎
2
1国立成育医療研究センター研究所生殖・細胞医療研究部
2国立成育医療研究センター研究所周産期病態研究部
pp.770-776
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102695
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はじめに
体外受精を世界で初めて報告したRobert G. Edwards博士が2010年のノーベル医学生理学賞を受賞した.世界中で生殖補助医療(ART)の恩恵を受けた出生児はこれまで約400万人にも上り,わが国では20万人を超えている.ARTを成功に導く関連要素として,配偶子採取と取扱い,体外での受精,体外胚培養そして着床(胚移植)が挙げられるが,生体内で緻密に制御されている生殖にかかわる生物学的および生理学的事象が体外で行われる影響が解析されてきた.特に,エピジェネティック修飾の成熟途上にある配偶子・胚を扱うことからエピジェネティック異常症との関連性を指摘する報告もある.
本稿ではARTを背景にしたエピジェネティクスの知識を整理し,エピジェネティック異常症との関連について知見を紹介する.
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