今月の臨床 ART─いま何が問題か
生殖医学・医療のトピックス
1.始原生殖細胞の体外培養
松居 靖久
1
1東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センター
pp.778-782
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102697
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はじめに
始原生殖細胞は胎仔に存在している未分化な生殖細胞で,哺乳動物では胚発生の初期段階で多能性幹細胞から分化する.その後,活発に増殖しながら発生が進む胎仔内を移動し,将来の卵巣や精巣の元になる生殖巣原基に到達し,そのなかで減数分裂を経て精子または卵子へと成熟する.これまでの研究から,こういった始原生殖細胞の発生過程を,部分的にではあるが再現できる培養系が確立されている.また始原生殖細胞は,配偶子にのみ分化する単能性の細胞だが,特定の条件下で培養することにより短時間で多能性幹細胞に再プログラム化されることが知られている.本稿では,研究が進んでいるマウスの始原生殖細胞に主に焦点を絞り,その培養系についての知見を概説する.
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