今月の臨床 ART─いま何が問題か
ARTによる出生児の問題
1.生後発育と先天異常
平原 史樹
1
1横浜市立大学大学院医学研究科生殖生育病態医学(産婦人科学)
pp.764-769
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102694
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はじめに
人類初の体外受精を成功させたケンブリッジ大学名誉教授エドワード博士と産婦人科医ステプトー博士は1978年に世界初のいわゆる“試験管ベビー”としてルイーズ・ブラウンさんを誕生させた.その後ルイーズさんは自然に妊娠し健児を得ている.生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)による出産児数はいまや年間1万出生を大きく超え,新生児の50~60名に一人はARTによる出産児といわれている.いままでにも児の健康や先天異常とARTとの関係を論じた報告が数多くあるが,最近の報告では,不妊として診療を受ける医学的理由が背景にあることから,やはり,若干の問題点の存在が指摘されている.しかしながらその背景には,複雑な要因の介在が示唆されてきている.本稿ではそれらの各論を論じることとする.
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