症例
閉経後に増大した脂肪平滑筋腫の1例
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
北島 義盛
3
,
水内 将人
4
,
塚本 健一
5
,
藤田 美悧
5
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうちウィメンズクリニック
3セントラル女性クリニック
4札幌医科大学産婦人科
5新日鐵室蘭総合病院臨床病理検査室
pp.731-736
発行日 2011年5月10日
Published Date 2011/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102685
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症例は75歳(閉経45歳).65歳時よりC型肝炎にて消化器科で経過観察中で,年1回の定期の腹部超音波にて14.1×11.2 cmの骨盤内腫瘍を認め,当科を紹介された.なお,1年前の超音波検査では異常は認められていない.
子宮肉腫疑いにて開腹手術を行ったところ,術中迅速組織検査で脂肪平滑筋腫の診断のため腹式子宮全摘術,両側子宮付属器摘出術を施行した.摘出した子宮筋腫は重量964 gで,子宮筋腫の割面では全体の60~70%程度を脂肪組織を示す黄色部分が占めていた.
病理組織所見は,成熟した脂肪細胞からなる脂肪組織に平滑筋組織が混在し,脂肪平滑筋腫と診断された.凍結保存した脂肪平滑筋腫組織の検索で,アンドロステンジオン・アロマターゼ活性140.0 fmol/hr/g,エストラジオール2.82 pg/g,エストロン233.3 pg/g,エストロゲンレセプター陽性であり,局所のエストロゲン合成を通じて筋腫の増大がもたらされた可能性が示唆された.
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