臨床経験
1,000 gを超える子宮筋腫例に対する腟式子宮全摘術の経験
佐藤 賢一郎
1
,
北島 義盛
1
,
水内 英充
2
,
水内 将人
3
,
根岸 秀明
3
,
塚本 健一
4
,
藤田 美悧
4
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産婦人科
3札幌医科大学産婦人科
4新日鐵室蘭総合病院病理・臨床検査室
pp.1249-1254
発行日 2008年9月10日
Published Date 2008/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101869
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今回,腟式に摘出し得た1,410 g,1,200 g,1,130 gの1,000 gを超える子宮筋腫3例を経験した.各症例の手術時間は順に110分,85分,95分で,術中出血量は順に685 ml,1,300 ml,1,000 mlであった.3例とも無輸血で,術後経過は貧血を認めるほかは良好であった.手術方法は,基靱帯無結紮切断法,翻転術式,筋腫核出術,子宮および筋腫核の分割切除,切半によった.頸部筋腫例では,まず筋腫核出を行ってから上記術式によった.腟式子宮全摘術の適応について,米国産婦人科学会では妊娠12週の大きさ(約280 g)を超えないことを1つの基準として挙げている.1,000 gを超える子宮筋腫に対する腟式子宮全摘術は,出血量の増量と手術時間が延長する可能性があるが,腹部にまったく切開創が残らない,特別な設備,器具,機器を要さない,コスト面で有利であるなどの利点は捨てがたいものがあり,症例により選択に値するのではないかと思われた.
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