今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
更年期・老年期
5.脂質異常症
若槻 明彦
1
1愛知医科大学産婦人科学教室
pp.545-549
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102647
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 概 念
脂質異常症とは血中のLDLコレステロール(LDL─C)や中性脂肪(TG)が高値,あるいはHDLコレステロール(HDL─C)が低値の場合をさす.脂質代謝異常から動脈硬化への進展機序としては以下の3点が考えられる.
1)高LDL血症 : 肝から産生されたVLDLはIDLからLDLに変化する.LDLは肝のLDL受容体から取り込まれ,血中濃度が維持されているが,血中に過剰に蓄積すると,血管内皮下に侵入し,活性酸素により酸化変性される.酸化LDLはマクロファージに一方的に貧食され,最終的には泡沫細胞を形成して粥状硬化へと進展する.したがって,血中にLDLが蓄積すると,冠動脈疾患や脳卒中などのリスクが増加する.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.