今月の臨床 絨毛と胎盤をめぐる新知見
絨毛性疾患の病態・病因論
4.絨毛性疾患の病理診断
福永 真治
1
1東京慈恵会医科大学第三病院,病院病理部
pp.225-229
発行日 2011年3月10日
Published Date 2011/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102589
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絨毛性疾患(trophoblastic disease)
胞状奇胎(hydatidiform mole)
胞状奇胎は絨毛においてトロホブラストの異常増殖と間質の浮腫を示す病変をいう.全胞状奇胎(全奇胎),部分胞状奇胎(部分奇胎),侵入奇胎に分けられる1).超音波検査の普及に伴い異常妊娠や奇胎が早期(12週以下)に掻爬され,絨毛の浮腫やトロホブラストの増殖が軽度のことが多く診断は容易ではない.肉眼的,組織学的にも全奇胎が部分奇胎,部分奇胎が水腫性流産と誤診されやすい傾向にある2, 3).通常,奇胎では嚢胞は2 mm以上であるが,それ以下の奇胎,それ以上の水腫性流産もあり,肉眼のみならず組織学的検討が必須である.それぞれに特徴的な組織所見はなく総合的な判断が要求される.
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