症例
周産期心筋症の1例
佐藤 賢一郎
1
,
森下 美幸
1
,
鈴木 美紀
1
,
田原 泰夫
2
,
山内 一暁
3
,
岡崎 雄介
3
,
水内 英充
4
,
北島 義盛
5
,
塚本 健一
6
,
藤田 美悧
6
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2新日鐵室蘭総合病院小児科
3新日鐵室蘭総合病院循環器内科
4みずうちウィメンズクリニック
5セントラル女性クリニック
6新日鐵室蘭総合病院臨床病理検査室
pp.1694-1699
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102534
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今回,周産期心筋症の1例を経験した.症例は35歳,3経妊・1経産で,喫煙歴あり,身長162.0 cm,初診時(妊娠33週0日)の体重80.0 kg(BMI 30.5)であった.妊娠高血圧症候群を合併し,妊娠36週1日で経腟頭位分娩し,児は2,320 g,健常で産褥5日目に血圧148/70 mmHg,尿蛋白40.4 mg/dlの状態で退院した.分娩後39日目に急に呼吸苦が出現し受診したところ,血圧230/150 mmHg,脈拍160/分,胸部X線,胸部CTで両側胸水および両肺にすりガラス影や浸潤影を認めた.心臓超音波検査で左室駆出率36%で左室内腔の拡大と全周性の心臓壁の運動低下を認めた.循環器内科に入院後,利尿薬,心房性ナトリウム利尿ポリペプチド製剤の投与を行い,第3病日には呼吸,血圧,脈拍も改善し,第18病日に退院した.心臓血管造影では冠動脈の狭窄はみられず,心筋生検では心筋細胞の軽度肥大と核の異型を認め,周産期心筋症と診断された.
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