今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診
子宮頸がん検診―普及をめざして
4.子宮頸がん検診におけるHPV検査の位置づけ
井上 正樹
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1金沢大学医学系研究科産婦人科学講座
pp.304-309
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102296
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子宮がん検診の現状
わが国においては1982年の老人保健法制定により全国的に開始された細胞診による子宮頸がん検診は,子宮がんの発生率の低下のみならず日本にがん検診を定着させた指導的役割はきわめて大きい.厚労省も「検診による死亡率減少化効果がある」と評価した.しかし,国の政策転換によりがん検診事業は1998年4月からは地方行政の任意事業となった.さらに,2003年4月には「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針」で検診間隔を2年とし,検診の開始年齢を20歳とした.このような状況のなかで,わが国の子宮がん検診は以下のような課題を抱えている.
(1)検診受診率が20%前後と低迷している.特に新規の受診者や20代の受診者がきわめて少ない状況が続いている.
(2)検診の精度管理が求められている.
(3)子宮頸部がんの発生率は検診導入以来着実に低下してきたが,最近では生殖年齢層に罹患率・死亡数が増加している.
(4)HPVワクチンが認可された現在は,一層の子宮頸がんに対する啓発と科学的・合理的でかつ日本に適した検診システムの構築が求められている.
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