今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診
HPVワクチン─確実な予防効果
2.子宮頸がんは発がん機序が解明されている
豊島 将文
1,2
,
八重樫 伸生
1
1東北大学医学部産科婦人科学教室
2Fred Hutchinson Cancer Research Center, Seattle, USA
pp.247-251
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102288
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はじめに
子宮頸がんの大部分はヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)の長期感染が原因で起こることが解明されている.HPVワクチンは非常に効率的にhigh risk型のHPV感染を予防できるので,子宮頸がんを始めとするHPV関連がんの予防に大きな効果が期待できる.しかし,ワクチンはHPV既感染者には無効であり,かつがん患者への治療効果もない.さらに長期間での有効性やHPV型特異性にも課題が残っている.新たな子宮頸がん治療や次世代HPVワクチンの開発のためには,HPV感染から発がんに向かう過程でのHPVのlife cycleやウイルス蛋白が発がんに関与する分子学的な機構の理解がきわめて重要である.そのような観点から,本稿ではHPVによる子宮頸がん発がんの分子機構やHPV型と子宮頸がん発生のリスクに焦点を当てて概説したい.
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