今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診
HPVワクチン─確実な予防効果
3.HPVワクチンの現状
吉川 裕之
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科婦人周産期医学
pp.252-255
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102289
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はじめに
ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)では,約15の型(16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68,69,73,82型など)が,子宮頸がん関連HPVとして知られ,最も高頻度に検出されるのはHPV16であり,次いでHPV18である1).子宮頸がんの原因とはならないHPVはlow-risk typesと呼ばれ,尖圭コンジローマや喉頭乳頭種(小児型,成人型)の原因であるHPV6,11型が代表的である.
HPV感染は最も頻度の高い性感染で,20歳前後の女性のコホート研究では3~5年で40~60%にHPV感染が起こる2).HPV感染からみると,子宮頸がん発生は,むしろ例外的なイベントといえる.HPVがん蛋白であるE6/E7の機能とHPV感染細胞に対する細胞免疫が重要な鍵を握っている.HPV感染は子宮頸がん発生の必要条件で,感染を予防することで子宮頸がん征圧が期待できる.
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