今月の臨床 母体救命搬送
【救急搬送のタイミングと応急処置】
2.妊産褥婦に合併した救急疾患
1)脳血管障害
辻本 雄太
1
,
横田 裕行
2
1山形県立救命救急センター
2日本医科大学高度救命救急センター,救急医学講座
pp.32-37
発行日 2010年1月10日
Published Date 2010/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102252
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脳血管障害に対する応急処置の理論的背景と実際
脳血管障害は,脳への一次的な損傷をきたす.そして多くの場合,二次的な脳損傷をも合併する.初期治療の目的は,低酸素血症,高または低二酸化炭素血症,電解質異常,血糖値異常,体温異常などの二次的脳損傷の原因を可及的に取り除き,一次的な損傷を受けなかった神経組織とその機能を保護することである1).急性期の適切な対応が,患者および児の転帰と神経学的後遺症の程度に大きな影響を及ぼすことが考えられ,それゆえ救急搬送のタイミングと応急処置にかかる比重は大きい.
脳外科専門医へ転院搬送する際は,二次的脳損傷を最少にするような処置が必要となる.脳外科非専門医が行うべき応急処置の目的は,「二次的脳損傷を最少にする」ことに尽きる.
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