今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
更年期・老年期
11.排尿障害
角 俊幸
1
,
福田 武史
1
,
石河 修
1
1大阪市立大学大学院医学研究科産科婦人科学
pp.578-583
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102653
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1 概 念
排尿障害とは症状症候群であり,正式には下部尿路症状(lower urinary tract symptoms : LUTS)といわれ,蓄尿症状,排尿症状,排尿後症状の3つに大別される(図1).このなかで,一般産婦人科医がしばしば遭遇するのが蓄尿症状である.蓄尿症状には,頻尿,尿意切迫感,尿失禁などの症状が含まれる.これらはあくまでも症状であって,疾患とは区別される.
蓄尿症状を呈する疾患は,尿失禁,過活動膀胱が挙げられる(図1).過活動膀胱(overactive bladder : OAB)とは,2002年に国際禁制学会(International Continence Society : ICS)による「下部尿路機能の用語の標準化」により提唱されたもので,「尿意切迫感を必須とした症状症候群であり,通常は頻尿と夜間頻尿を伴うものである.切迫性尿失禁は必須ではない」と定義されている.
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