今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 D生殖補助医療(ART)
【IVM】
85.IVM─IVFで成果を上げている施設があるようですが,この方法の問題点について教えてください.
福田 愛作
1
1IVF大阪クリニック
pp.594-599
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102074
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
[1]はじめに
未熟卵体外成熟─体外受精─胚移植法(in vitro matulation, in vitro fertilization and embryo─transfer:IVM─IVF)は,無刺激もしくは少量FSH/HMGを投与した卵巣の小卵胞より未成熟卵を採取し,体外成熟卵から得られた受精卵を子宮内に移植する方法である.IVM─IVFの臨床応用は,1991年に未熟卵由来胚がドナー胚として用いられたのに始まり1),1994年には多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)患者に不妊治療の一環として初めて用いられた2).最大の利点は,卵巣刺激をほとんど,もしくはまったく行わないため,卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:OHSS)の危険性がないことである.また,注射に伴う肉体的,精神的苦痛,さらには時間的制約,経済的負担軽減につながる.IVM─IVF妊娠率はIVF─ETに比べ低いといわれてきたが,世界的にみてもその妊娠率は徐々に上昇してきている3~6).PCOS症例ばかりでなく,正常月経周期婦人や体外受精反復不成功例にも応用され,成果を挙げている7, 8).われわれは,本邦初の成功以来9, 10)方法に改善を重ね,現在ではIVFに匹敵する妊娠率を達成し,PCOSおよびPCO症例に対してARTの第一選択としている.本稿では,PCOS(PCO症例を含む)に対するIVM─IVFの方法と成績を提示するとともに,各工程における問題点を取り上げた.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.