今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 D生殖補助医療(ART)
【胚凍結】
84.体外受精治療で胚盤胞の融解胚移植を行うには,自然周期ではいつがよいか教えてください.また,その指標には何が最適ですか.
福田 愛作
1
1IVF大阪クリニック
pp.591-593
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102073
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[1]はじめに
近年,生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)が不妊治療の主流となるとともに多胎妊娠の増加が社会問題化してきている.本邦においても,単一胚移植が35歳以下の患者に求められるようになり,結果として凍結保存技術は不妊専門施設においては必要不可欠のものとなった.当初は胚移植後の余剰胚の保存が主たる目的であった凍結保存技術が,余剰胚の凍結のみならず,卵巣過剰刺激症候群の増悪を予防するための前核期受精卵の全面凍結や多胎予防のための単一移植後の余剰胚の凍結にも広く用いられるようになってきている.凍結保存の必要性が増加すると同時に新しい凍結保存法であるvitrificationの技術がわが国で発展し,世界の凍結法を変えるまでに至っている1).ここへきて胚盤胞までの培養液の進化と相まって胚盤胞単一移植法が拡がりをみせ,胚盤胞vitrification凍結が飛躍的に増加している.この凍結胚盤胞をいかにして自然周期で融解胚移植を行えばよいかを,自験例をもとに解説する.
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