今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント
産道損傷,腟・会陰血腫,後腹膜血腫
天野 完
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1北里大学医学部産婦人科,総合周産期母子医療センター
pp.65-69
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101943
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産道損傷
1. 骨産道損傷
恥骨結合離開,仙腸関節や尾骨損傷では損傷部に圧痛,下肢への放散痛がみられる.鎮痛薬やコルセット,骨盤ベルトで固定することで症状を緩和する.診断は臨床所見とX線診断による.尾骨は可動性があり容易に骨折,離開するがほとんどが自然治癒する.
2. 軟産道損傷
1) 子宮破裂
別稿を参照していただきたい.
2) 頸管裂傷
胎盤娩出後に子宮収縮を確認しつつ,示指と中指で頸管を挟むように全周の連続性を確認したうえで,直視下に裂傷の有無を確認する.その際,助手に子宮底を下方に十分に圧迫させ,頸管部を腟入口部近くまで転位させる.ジモン式腟鏡などで十分に視野を展開しペアン鉗子か頸リス鉗子で頸部前後唇を把持,牽引して損傷の有無を確認する.頸管裂傷の多くは3時,9時の部位で縦方向に生じ,動脈損傷により持続的に鮮紅色の出血がみられる.
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